職場のメンタルヘルス対策とは?4つのケアと企業の義務・具体例

職場のメンタルヘルス対策とは?4つのケアと企業の義務・具体例

「職場のメンタルヘルス対策が大事なのはわかるけれど、うちのような小さな会社は何から手をつければいいの?」「法律で義務になっていることは、どこまで?」。産業医や保健師がいない会社で人事・総務を担当していると、こうした疑問を一人で抱えがちです。

職場のメンタルヘルス対策には、厚生労働省が示した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針)という土台があります。指針の柱は、社員本人、管理職、社内の担当者、社外の専門家がそれぞれ役割を持つ「4つのケア」です。

結論から言うと、法律で義務になっているのは安全配慮義務やハラスメント防止措置などの一部で、4つのケアを軸にした取り組み全体は努力義務です。産業医がいない会社は、経営者の方針表明と推進担当者決めから始め、相談先づくりを社外の力も借りて進めるのが現実的です。この記事では、指針と法律をもとに職場のメンタルヘルス対策の全体像を整理し、テーマごとの詳しい記事へもご案内します。

この記事でわかること

  • 職場のメンタルヘルスの現状と、対策が必要な理由
  • メンタルヘルス対策で企業の義務になっていること、努力義務にとどまること
  • 厚生労働省の指針が示す「4つのケア」と「3段階の予防」の具体例
  • 産業医がいない中小企業が、何から始めればよいかの順番
  • 厚生労働省の事例集にある、企業の取り組み事例
目次

職場のメンタルヘルス対策とは?いま取り組むべき理由

まず、職場のメンタルヘルス対策がどんなもので、なぜいま必要とされているのかを、国の調査の数字から確認しておきましょう。

職場のメンタルヘルス対策とは

職場のメンタルヘルス対策とは、社員の心の健康を守り、不調を防ぎ、不調になった人の回復と職場復帰を支えるために、会社が組織として行う取り組みのことです。指針では「メンタルヘルスケア」と呼ばれています。不調は休職だけでなく、出勤しながら力を出し切れない「プレゼンティーイズム」として会社に影響することもあります(プレゼンティーイズムの損失と対策)。

指針のいう「メンタルヘルス不調」は病気だけでなく、ストレスや強い悩み、不安なども幅広く含みます。病気になる前の段階から手を打つのが基本の考え方です。

数字で見る職場のメンタルヘルスの現状と課題

厚生労働省が2026年8月7日に公表した令和7年「労働安全衛生調査(実態調査)」では、次のような結果が出ています(厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」令和7年)。

  • 仕事や職業生活で強い不安、悩み、ストレスを感じる事柄がある労働者は67.5%
  • その内容は「仕事の量」「仕事の失敗、責任の発生等」(いずれも39.5%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」(32.9%)が多い
  • 過去1年間にメンタルヘルス不調で連続1か月以上休んだ人、または退職した人がいた事業所は13.5%

また、厚生労働省 令和7年度「過労死等の労災補償状況」では、精神障害による労災の支給決定件数が1,082件と過去最多になりました。原因となった出来事は、上司などからのパワーハラスメントが最も多く、顧客や取引先からの著しい迷惑行為(カスハラ)も上位に入っています。

数字から見える職場の課題は、仕事量の偏り、人間関係とハラスメント、そして不調者が出てからの対応の遅れです。どれも一人の努力では解決しにくく、会社として仕組みで手当てする必要があります。

メンタルヘルス対策に取り組む企業の割合

同じ令和7年の調査で、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.0%でした。規模別に見ると、差がはっきり出ています。

  • 労働者50人以上の事業所:93.7%
  • 労働者30〜49人の事業所:72.0%
  • 労働者10〜29人の事業所:54.6%

50人未満では3〜4割の事業所がまだ取り組めていません。小さな会社ほど一人の不調が業務全体に響きやすいため、早めの備えが大切です。

メンタルヘルス対策は企業の義務?法律で決まっていること

「メンタルヘルス対策は義務なのか」は、よくある疑問です。答えは「一部は法律上の義務、全体の進め方は努力義務」です。何が義務で何が努力義務かを、会社の規模ごとに整理します。

規模を問わず、すべての会社に求められること

従業員数にかかわらず、次のことは会社に求められています。

  • 安全配慮義務:労働契約法5条にもとづき、社員が心身ともに安全に働けるよう配慮する義務。メンタルヘルスも含まれる
  • 長時間労働者への医師の面接指導:時間外・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる人から申し出があれば、医師による面接指導を行う
  • パワハラ防止措置:中小企業も2022年4月1日から義務。方針の明確化、相談窓口の設置、事後の対応などが必要
  • カスハラ対策:2026年10月1日から、労働者を雇うすべての事業主に雇用管理上の措置が義務化

また、常時10人以上50人未満の事業場では、衛生推進者(業種によっては安全衛生推進者)を選ぶ必要があります。メンタル不調で会社の責任が問われる場面は安全配慮義務の解説にまとめました。カスハラについては、カスハラ対策の義務化で企業がやることを手順の形で整理しています。パワハラ・カスハラのどちらも相談窓口の設置が求められるので、ハラスメント相談窓口の設置と担当者の対応手順もあわせて確認しておくと安心です。

50人以上の事業場に加わる義務

常時50人以上が働く事業場には、さらに次の義務があります。

  • 産業医と衛生管理者を選任する
  • 衛生委員会(または安全衛生委員会)を設け、毎月開く。付議事項に「労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立」が含まれる
  • 年1回のストレスチェックを実施し、結果を労働基準監督署に報告する(報告を怠ると50万円以下の罰金)

人数が50人に近づいてきた会社は、産業医の選任義務と14日以内の手順と安全衛生委員会の設置義務とメンバーを先に読んでおくと、準備の段取りがつかみやすくなります。

2028年4月からは50人未満もストレスチェックが義務に

2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、2028年4月1日から50人未満の事業場もストレスチェックの実施が義務になります。従業員30〜100人の会社では、拠点によっては新たに対象になるところも出てきます。なお、50人未満の事業場は結果を労働基準監督署へ報告する必要はなく、厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルは原則として外部委託を勧めています。

施行日や罰則の有無はストレスチェック義務化はいつからかで、委託先の選び方はストレスチェックの外部委託の費用相場と選び方で確認できます。

指針にもとづく取り組みは「努力義務」

労働安全衛生法69条は、社員の健康の保持増進のための措置を継続的かつ計画的に行うよう、事業者に努力を求めています。メンタルヘルス指針は、この措置をどう進めるかを示したものです。

つまり、4つのケアや心の健康づくり計画そのものを行わないことに罰則はありません。ただし、社員が不調になったとき、会社が何も備えていなかったことは、安全配慮義務の面で不利に働くおそれがあります。指針は「義務を果たすための土台」として使うのが現実的です。

厚生労働省の指針が示すメンタルヘルス対策の全体像

メンタルヘルス指針は2006年3月に定められ、2015年12月のストレスチェック制度の開始を前に、同年11月に改正されました。全体像は「計画」「3段階の予防」「4つのケア」の3つで押さえると理解しやすくなります。指針の概要はこころの耳「メンタルヘルス対策(心の健康確保対策)に関する施策の概要」で確認できます。

心の健康づくり計画と衛生委員会での話し合い

指針は、事業者がメンタルヘルスケアに積極的に取り組むことを表明し、衛生委員会などで話し合ったうえで「心の健康づくり計画」をつくるよう求めています。計画で定める主な事項は次のとおりです。毎月の議題に迷ったら、安全衛生委員会のネタ12か月分も参考にしてください。

  • 会社としてメンタルヘルスケアを推進するという表明
  • 心の健康づくりの体制
  • 職場の問題点の把握と、ケアの実施内容
  • 必要な人材の確保と、社外の専門機関の活用
  • 社員の健康情報の保護
  • 実施状況の評価と見直し

衛生委員会のない50人未満の事業場でも、計画づくりには社員の意見が反映されるようにすることが必要とされています。計画に何をどう書けばよいかは、心の健康づくり計画のひな形と記入例を下敷きにすると進めやすくなります。

3段階の予防(一次予防・二次予防・三次予防)

指針は、メンタルヘルス対策を時間の流れに沿って3つの段階に分けています。

  • 一次予防:不調を未然に防ぐ。ストレスチェックの活用や職場環境の改善、研修など
  • 二次予防:不調を早く見つけて対応する。相談窓口、管理職の気づき、医療機関へのつなぎなど
  • 三次予防:不調で休んだ人の職場復帰を支え、再発を防ぐ(進め方は復職支援プログラムの作り方で解説)

どの段階が欠けても、対策は機能しにくくなります。

社員の個人情報への配慮が前提

指針は、メンタルヘルスケアを進めるうえで、社員の健康情報を守り、本人の意思を尊重することを特に重視しています。会社が心の健康に関する情報を受け取るには本人の同意が必要で、健康確保のための配慮以外に使ってはならないとされています。

メンタルヘルス対策の「4つのケア」と具体例

指針の中心にあるのが「4つのケア」です。誰が、何をするのかを分けて考えると、自社に足りない部分が見えてきます。それぞれの役割と、中小企業でもできる具体例を紹介します。

セルフケア:社員が自分のストレスに気づき対処する

セルフケアは、社員一人ひとりが自分のストレスに気づき、対処することです。管理職もセルフケアの対象に含まれます。会社の役割は、そのための知識と機会を用意することです。研修で何を扱うかは、セルフケア研修のプログラム例が参考になります。

  • ストレスの基礎知識や対処法を学ぶ研修や動画を用意する
  • ストレスチェックとは別に、いつでもできるセルフチェックの機会を案内する
  • 社内と社外の相談先を、入社時や社内報で繰り返し伝える
  • 同僚の様子がいつもと違うと感じたときに、声をかけて相談先を伝えればよいことを共有する

ラインによるケア:管理職が「いつもと違う」に気づく

ラインによるケアは、部下と日常的に接する管理職が、職場環境の改善や部下からの相談対応を行うことです。指針は、会社が管理職向けの研修を行うよう求めています。管理職に求める範囲や研修の進め方は、ラインケアの役割と進め方で詳しく解説しています。

  • 遅刻や欠勤が増えた、ミスが続く、口数が減ったなど「いつもと違う」変化に気づく
  • 話を否定せずに聴き、必要に応じて社内の担当者や社外の専門家につなぐ
  • 仕事の量や偏りを見直し、特定の人に負担が集中しないようにする

管理職向けの研修は、ハラスメント防止とあわせて組むと時間を取りやすくなります。対象者別の内容と無料教材はハラスメント研修の内容と無料教材にまとめています。

事業場内産業保健スタッフ等によるケア:社内の推進役をつくる

産業医、衛生管理者、保健師、人事労務の担当者などが、社員と管理職を支え、計画を動かす役割です。指針は、実務を担う「事業場内メンタルヘルス推進担当者」を選ぶよう努めることを求めています。

50人未満の事業場については、衛生推進者や安全衛生推進者を推進担当者に選び、社外の支援を積極的に使うことが望ましいとされています。なお、推進担当者は社員の健康情報を扱うため、解雇や昇進に直接の権限を持つ人を選ぶのは適当でないとされています。誰を選べばよいか迷ったら、安全衛生推進者と衛生推進者の違い・選任要件が参考になります。

事業場外資源によるケア:社外の専門家を頼る

事業場外資源によるケアは、社外の専門機関や専門家の支援を受けることです。社内に専門職がいない会社にとって、最も頼りになる部分です。

  • 地域産業保健センターや産業保健総合支援センターなどの公的機関
  • 医療機関
  • 社員が社外の専門家に相談できるサービス(EAP や福利厚生のカウンセリングなど)

社内では相談しにくい悩みにも役立ちますが、指針は外部に頼りきりになって会社が主体性を失わないよう注意も促しています。外部の相談サービスの種類と費用の考え方はEAP(従業員支援プログラム)の選び方で、専門家への相談の場を社内に用意する手順は企業カウンセリングの導入方法で紹介しています。

中小企業のメンタルヘルス対策は何から始める?6つのステップ

指針は、小規模な事業場では、セルフケアとラインによるケアを中心に、できるところから着実に進めることが望ましいとしています。ここでは、産業医がいない会社を想定した順番を紹介します。

ステップ1:経営者が方針を表明する

経営者が「社員の心の健康を大切にする」と社内に伝えます。あわせて、相談した内容や健康の情報は本人の同意なく人事評価に使わないことも明言します。

ステップ2:推進担当者を決める

衛生推進者や人事・総務の担当者を、メンタルヘルス対策の推進担当者に決めます。一人に抱えさせず、相談できる上司や社外の窓口を決めておくことが続けるコツです。

ステップ3:職場の現状を把握する

残業時間の偏り、休職や退職の状況、ストレスチェックの集団分析の結果、無記名の社員アンケートなどから、負担の大きい部署や働き方を確認します。部署ごとの結果をどう読み、10人未満の部署をどう扱うかはストレスチェックの集団分析の見方を参考にしてください。

ステップ4:相談先をつくり、周知する

社内と社外の窓口を両方用意し、「相談内容は守られる」ことと連絡先を周知します。窓口はつくっただけでは使われにくいものです。社内相談窓口が使われない理由と改善策を先に押さえておくと、同じつまずきを避けられます。

ステップ5:管理職研修とセルフケアの情報提供

管理職には部下の変化への気づき方と話の聴き方を、全社員にはストレスへの気づき方と相談先を伝えます。厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」には、無料で使える教材がそろっています。

ステップ6:不調者が出たときの流れを決めておく

不調の相談を受けたとき、誰に連絡し、どの医療機関や窓口につなぎ、休職と復職をどう進めるかを、簡単なフローにしておきます。診断書を受け取ってから復職までの会社側の動きは休職の手続きの流れに、休み始めの扱いで迷いやすい点は休職と欠勤の違いにまとめています。

6つのステップのうち、ステップ3の現状把握とステップ4の社外の相談先は、専門職のいない会社が自前で用意しにくいところです。外部のサービスでどこまで補えるかを、資料で確かめておくと検討が早く進みます。

資料ダウンロード

産業医がいない会社の相談先づくりに。ココロチェックのサービス資料

メンタルヘルス対策の企業の取り組み事例

厚生労働省は2020年3月に「事業場におけるメンタルヘルス対策の取組事例集」を公表しています。ここでは、その中から中小規模の事業場の例を2つ紹介します。

事例1:従業員約80人のタクシー会社(労働時間と体調を一緒に把握)

従業員の多くが乗務員で、拘束時間が長く不規則になりやすい会社の例です。社長が中心となって、始業・終業の時刻から拘束時間と月の残り時間を自動で計算する「労働時間管理表」をつくりました。さらに、乗務前の点呼で使う日常点検表に、疲れや眠気、睡眠不足、その日の体調を書く欄を加えています。

新しい制度を足すのではなく、すでにある点呼の流れに組み込み、現場の負担を抑えている点がポイントです。

事例2:社会福祉法人(公的支援で仕組みを整備)

特別養護老人ホームを運営する法人で、不調による休職者が同時期に複数出たのをきっかけに、労働者代表の申し出で対策を始めた例です。産業保健総合支援センターの個別訪問支援を受けながら、職場復帰のプログラムと、不調時の対応を示したフローチャートをつくりました。

研修は、まず管理職と安全衛生委員を対象に行い、その後に全職員向けのセルフケア研修を開いています。講師は産業保健総合支援センターの担当者に依頼しており、社内に講師役がいなくても公的支援で研修まで進められる例です。

職場のメンタルヘルス対策を進めるときの注意点

職場のメンタルヘルス対策は、やり方を誤ると社員の不信感を招き、かえって相談が減ることもあります。始める前に押さえておきたい注意点をまとめます。

本人の同意なく健康情報を扱わない

ストレスチェックの個人結果や相談の内容を、本人の同意なく会社が見たり、上司に伝えたりしてはいけません。情報を扱える人、保管の方法、共有してよい範囲を、あらかじめ社内ルールで決めておきましょう。

「研修をした」「窓口をつくった」で終わらせない

窓口の利用状況や休職者の数、集団分析の結果を年に一度は振り返り、計画を見直します。指針も、実施状況を評価して改善することを求めています。続けてきた取り組みを社外に示したい場合は、健康経営優良法人の認定基準と申請手順も一つの目標になります。

無料の公的支援とマニュアルを活用する

産業医がいない会社でも使える無料の公的支援があります。

  • 地域産業保健センター(地さんぽ):50人未満の事業場向けに、医師による面接指導や健康相談を無料で行う
  • 産業保健総合支援センター(さんぽセンター):研修や個別訪問支援を無料で行う。かつての「メンタルヘルス対策支援センター」の役割も引き継いでいる
  • こころの耳:厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト。教材や相談窓口の情報がまとまっている

社内マニュアルをゼロから作る必要もありません。厚生労働省は、指針をわかりやすく解説したパンフレット「職場における心の健康づくり」や、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を公開しています。社内の手順書は、これらを下敷きに自社の窓口や連絡先を書き込む形にすると効率的です。

申込の方法や頼める範囲は、地域産業保健センターの使い方で手順を追って紹介しています。

ココロチェックで、職場のメンタルヘルス対策の土台をつくる

4つのケアのうち、専門職のいない会社が自前で用意しにくいのが、職場の状態を把握することと、社員が社外の専門家に相談できる場所です。ここを外部の力で補うと、社内の担当者は方針づくりや職場の改善に集中しやすくなります。

ココロチェックは、産業保健の担当者がいない会社のための、法人向けメンタルヘルスサービスです。組織の状態を「測る」ところから、社員が専門家に相談して「癒す」ところまでを、一つのサービスで支えます。

  • 組織の状態を測る:設問に答えるだけで、組織の状態と部署ごとの傾向がわかる組織診断を無料で用意しています。対策を始める前の現状把握に使えます
  • 社員の相談先になる:公認心理師・臨床心理士などの専門家に、オンラインで1回30分から相談できます。社内では話しにくい悩みの受け皿になります
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職場のメンタルヘルス対策のよくある質問

最後に、職場のメンタルヘルス対策について、人事・総務のご担当者からよく寄せられる質問にお答えします。

Q. メンタルヘルス対策は企業の義務ですか?

一部は法律上の義務です。安全配慮義務やハラスメント防止措置は規模を問わず義務で、50人以上の事業場はストレスチェックや産業医の選任も義務です。4つのケアなど指針にもとづく取り組み全体は努力義務です。

Q. メンタルヘルス対策の4つのケアとは何ですか?

厚生労働省の指針が示す、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つです。社員本人、管理職、社内の担当者、社外の専門家がそれぞれの役割を持ち、継続的かつ計画的に行うことが重要とされています。

Q. 産業医がいない中小企業は何から始めればいいですか?

経営者が方針を表明し、推進担当者を決めることから始めます。そのうえで現状を把握し、社内外の相談先を用意して周知します。

Q. メンタルヘルス対策の具体例にはどんなものがありますか?

管理職研修、セルフケアの情報提供、ストレスチェックと集団分析、相談窓口の設置、休職と復職の手順づくりなどがあります。日常業務に組み込んだ例は、厚生労働省の取組事例集でも紹介されています。

Q. メンタルヘルス対策はいつから義務になったのですか?

一度に義務になったわけではありません。指針は2006年に定められ、50人以上の事業場のストレスチェックは2015年12月から義務です。50人未満の事業場のストレスチェックは2028年4月1日から義務になります。安全配慮義務は2008年施行の労働契約法5条に明記されています。

Q. メンタルヘルス対策の担当者に資格は必要ですか?

推進担当者そのものに法律上の資格要件はありません。50人未満の事業場では、所定の講習を修了した人などから選ぶ衛生推進者や安全衛生推進者を、推進担当者に充てることが指針で望ましいとされています。社員の健康情報を扱うため、人事権を持つ人は避けます。

まとめ:職場のメンタルヘルス対策は「4つのケア」を軸に、できるところから

職場のメンタルヘルス対策について、要点を振り返ります。

  • 職場のメンタルヘルス対策は、安全配慮義務やハラスメント防止などの法的義務と、厚生労働省の指針にもとづく努力義務の両方で成り立っている
  • 指針の柱は「4つのケア」と「3段階の予防」。社員本人、管理職、社内の担当者、社外の専門家の役割を分けて考えると、足りない部分が見えやすい
  • 産業医がいない中小企業は、方針の表明と推進担当者の選任から始め、現状把握と相談先の用意を、公的な無料支援も使いながら進める

職場のメンタルヘルス対策は、一度に完璧を目指すものではありません。社員が安心して相談でき、会社が早く気づける仕組みを、できるところから一つずつ整えていきましょう。最初の一歩として、いまの職場の状態を数字で確かめておくと、どのケアから手をつけるかを社内で話し合いやすくなります。

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この記事を書いた人

はたらくこころ研究所 編集部のアバター はたらくこころ研究所 編集部 運営:株式会社remental

はたらくこころ研究所は、株式会社remental が運営する、職場のメンタルヘルスの情報メディアです。編集部では、産業医や保健師などの産業保健の担当者がいない会社で人事・総務・経営を担う方に向けて、ストレスチェック、休職・復職、ハラスメント対策、管理職のラインケアなどの実務をまとめています。
法令や制度に関する記事は、厚生労働省など公的機関が公表している情報をもとに作成し、制度の改正にあわせて見直しています。

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