「先週まで普通に働いていた部下から、急に退職を切り出された」。小さな会社の経営者や人事・総務のご担当者から、よく聞く話です。けれど振り返ってみると、仕事辞める人の前兆は、申し出の数か月前から少しずつ表に出ていることが少なくありません。
この記事は、退職を考えている本人向けではなく、上司・人事が部下の退職のサインに先に気づくための記事です。行動・人との関わり・勤怠・身の回りの変化を、会社側の目線でチェックリストにまとめました。
あわせて、見分けにくい「メンタル不調のサイン」との違いと重なり、気づいたあとの声かけと対応の手順も、厚生労働省の統計や資料をもとに整理しました。
この記事でわかること
- 仕事を辞める人に出やすい前兆のチェックリスト(行動・人間関係・勤怠・身の回り)
- 退職の前兆とメンタル不調のサインの違いと、重なるところ
- 部下の退職のサインに気づいたときの対応の5ステップと声かけの例
- 辞めそうな社員への対応で、やってはいけないこと
- 離職の予兆に、上司ひとりではなく組織で気づく仕組み
仕事辞める人の前兆に、会社が先に気づく意味
まず、なぜ退職の前兆に気づくことが会社にとって大切なのかを、公的な統計から確認しておきましょう。辞める理由を知っておくと、どの変化に目を向ければよいかも見えてきます。
「前兆なしの退職」に見えても、変化は出ていることが多い
退職の申し出は、本人の中では長く迷った末の結論であることがほとんどです。転職先を探す、家族に相談する、身の回りを整理する、といった準備の期間があり、その間に仕事ぶりや人との関わり方に小さな変化が出ます。
上司から見ると「前兆なしの、びっくり退職」に思えても、実際には「変化はあったが、忙しさにまぎれて気づけなかった」というケースが多いものです。申し出を受けてからでは、本人の気持ちはほぼ固まっています。悩みの段階で気づければ、話を聴き、変えられることを一緒に考える余地が残ります。
辞めた理由のデータ:労働条件・人間関係・収入
厚生労働省の令和7(2025)年雇用動向調査(2026年8月公表)によると、2025年1年間に転職した人が前の職場を辞めた理由は、次のとおりでした(「その他の個人的理由」などを除く)。
- 男性:「定年・契約期間の満了」16.1%が最も多く、次いで「給料等収入が少なかった」9.9%
- 女性:「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.9%が最も多く、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」11.5%
同じ調査では、1年間の離職率は13.7%でした。労働時間や人間関係、収入といった日常の中の不満が大きな理由であり、前兆の多くも「日々の働き方」に表れます。
小さな会社ほど、ひとりの退職が重い
厚生労働省が2025年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況」では、2022年3月に卒業して就職した人の3年以内の離職率は、大学卒で33.8%、高校卒で37.9%でした。事業所の規模別にみると、30〜99人の事業所では大学卒41.9%、高校卒45.2%と、規模が小さいほど高い傾向があります。
30〜100人の会社では、ひとりが辞めると残った人の負担が増え、次の退職を招くこともあります。前兆に気づくことは職場全体を守ることにつながります。入社して間もない若手がどの時期に、どんな理由で辞めやすいかは、若手社員の離職理由を知っておくと見当がつけやすくなります。
仕事を辞める人の前兆チェックリスト
ここからは、退職しそうな人に出やすい前兆(兆候)や特徴を、4つの場面に分けてチェックリストにしました。部下の顔を思い浮かべながら、当てはまるものを確かめてみてください。
大切なのは、ひとつ当てはまっただけで「辞めるつもりだ」と決めつけないことです。見るべきは「その人のいつもの様子と比べて、変わったかどうか」です。もともと口数が少ない人が静かなのは前兆ではありません。複数の項目が、ここ数週間から数か月のうちに重なって出てきたときに、注意して見守る目安にしてください。
退職の前兆になる行動:仕事への向き合い方の変化
仕事の進め方そのものに表れる変化です。辞める人の行動として、もっとも目に入りやすい部分です。
- 新しい仕事や長期のプロジェクトを引き受けたがらなくなった
- 会議での発言や提案が減り、当たり障りのない返事が増えた
- 以前はこだわっていた仕事の質に、こだわらなくなった
- 半年先、1年先の話になると、話をそらしたり曖昧に答えたりする
- 人事評価や昇給・昇進の話に、関心を示さなくなった
- 研修や資格取得など、自分の成長につながる話に乗ってこなくなった
先の予定や評価への関心が薄れるのは、「この会社での将来」を考えなくなったときに出やすい変化です。
人との関わり方の変化
職場の人間関係から、少しずつ距離を置くようになるのも典型的な前兆です。
- 雑談やランチの輪に加わらず、ひとりで過ごすことが増えた
- 飲み会や社内行事への参加が減った
- 報告・連絡・相談の回数が減り、必要最低限になった
- 上司や会社への不満を口にすることが増えた、または逆にまったく言わなくなった
- 同僚と社外の話(転職、ほかの業界、知人の会社)をしていることが増えた
不満を言っていた人が急に何も言わなくなったときは、「言っても変わらない」とあきらめた可能性があります。意見が出なくなるのは、前向きな落ち着きとは限りません。
勤怠と休み方の変化
勤怠の記録は、上司の印象に頼らず確かめられる手がかりです。
- 残業をしていた人が、毎日ほぼ定時で帰るようになった
- 半日休みや1日単位の休みが、平日に点々と増えた(面接の可能性)
- 休みの理由が以前より曖昧になった
- 遅刻・早退・欠勤が増えた
- 有給休暇の残り日数を確かめたり、まとめて取ろうとしたりしている
なお、遅刻・早退・欠勤が増えるのは、次の章で触れるようにメンタル不調のサインでもあります。この項目が当てはまるときは、退職の前兆と決める前に、体調の面も気にかけてください。
身の回りと仕事の手放し方の変化
退職の準備が具体的になってくると、身の回りや仕事の持ち方に変化が出ます。
- 机やロッカーの私物が減り、片付けが進んでいる
- 頼まれてもいないのに、業務の手順書やマニュアルを整えている
- 自分しか知らない仕事を、ほかの人に教えるようになった
- 服装の雰囲気が変わった日が、休み明けや午後の外出の前後に重なる
引き継ぎを意識した動きは、本人なりの責任感の表れでもあります。気づいても問い詰めたり周囲に話したりしないでください。
前兆が見えにくい人もいる:優秀な部下と「静かな退職」
チェックリストに当てはまりにくいまま辞めていく人もいます。とくに次のような人は、前兆が表に出にくいので注意が必要です。
- 仕事ができて、最後まで成果を落とさない人
- 周りに気を遣い、不満を口に出さない人
- 上司との面談で「大丈夫です」と答える人
優秀な部下ほど、転職先が決まるまで周りに気づかせないように振る舞いがちです。また、最近話題の「静かな退職」は、会社に残ったまま決められた範囲の仕事だけをこなし、それ以上の意欲は見せない状態のことです。静かな退職のサインは、新しい仕事を避ける、提案が減る、定時で帰るといった点で退職の前兆とよく似ていて、放っておくと本当の退職につながることもあります。
前兆が見えにくい人に気づくには、変化を探すよりも、定期的に1対1で話す場を持っておくほうが確実です。
退職の前兆とメンタル不調のサインの違い
退職の前兆として挙げた変化の中には、メンタル不調のサインと重なるものがあります。ここを取り違えると、不調で苦しんでいる人を「辞める気だろう」と見てしまうおそれがあるため、違いと重なりを整理しておきます。
厚生労働省が示す「いつもと違う」部下の様子
厚生労働省のパンフレット職場における心の健康づくりでは、上司が部下の「いつもと違う」様子に早く気づくことが大切だとして、次のような例を挙げています。
- 遅刻、早退、欠勤が増える
- 休みの連絡がない(無断欠勤がある)
- 残業、休日出勤が不釣り合いに増える
- 仕事の能率が悪くなる。思考力・判断力が低下する
- 業務の結果がなかなか出てこない
- 報告や相談、職場での会話がなくなる(あるいはその逆)
- 表情に活気がなく、動作にも元気がない(あるいはその逆)
- 不自然な言動が目立つ
- ミスや事故が目立つ
- 服装が乱れたり、衣服が不潔であったりする
同じ資料では、こうした変化の背後には病気が隠れている可能性があるものの、病気かどうかの判断は上司にはできず、医師の仕事であることも示されています。
重なるサインと、違いが出やすいサイン
退職の前兆とメンタル不調のサインを並べると、次のように整理できます。あくまで目安で、両方が同時に起きていることも珍しくありません。
- 両方に出やすい:遅刻・早退・欠勤の増加、報告や会話の減少、人との距離を置く、意欲の低下
- 退職の前兆に出やすい:仕事ぶりは保ったまま先の話を避ける、定時で帰る、身の回りや仕事を整理している、表情は落ち着いている
- メンタル不調に出やすい:能率の低下やミスの増加、表情や動作に元気がない、身なりの乱れ、無断欠勤、逆に残業が増えすぎる
ざっくり言えば、退職を決めつつある人は「準備が進んで落ち着いている」ことが多く、メンタル不調の人は「仕事も生活も回らなくなっている」ことが多い、という違いがあります。ただし、不調がきっかけで退職を考えることもあり、二つははっきり分けられないものと考えてください。
迷ったら、まず体調の面から気にかける
退職の前兆か不調のサインか迷うときは、体調の面から気にかけるのが基本です。「辞めるつもり?」と聞かれると身構える人でも、「最近、疲れていない?」という声かけなら受け止めやすくなります。また、不調のサインを見逃して無理を続けさせると、会社の安全配慮義務が問われる場面も出てきます。
不調が疑われるときの具体的な声のかけ方や見守り方は、部下の様子がおかしいと感じたときの対応で詳しくまとめています。
部下の退職のサインに気づいたときの対応5ステップ
チェックリストで気になる部下がいたら、次の順番で対応します。目的は辞めさせないことではなく、本人が抱えている不満や悩みを早く知り、会社として変えられることがあれば手を打つことです。
ステップ1:気づいた変化を、日付つきでメモする
まずは、いつから、どんな変化があったかを短く書き留めます。「今月に入って半休が3回」「先月から会議で発言がない」のように、事実だけを書くのがポイントです。印象だけで話を切り出すと、本人は「監視されている」と感じてしまいます。
ステップ2:1対1で、責めずに話を聴く
周りに人がいない場所と時間を選び、1対1で話します。最初から退職の話を持ち出す必要はありません。体調や仕事量、困っていることを聴くところから始めます。
声のかけ方は、たとえば次のような言い方が使えます。
- 「最近、少し疲れているように見えたので気になって。仕事量はどう?」
- 「このところ会議で意見を聞けていなかったから、何か思っていることがあれば聞かせてほしい」
- 「今の仕事で、やりにくいところや変えたいところはある?」
- 「話せる範囲でいいし、ここで聞いたことは本人の了解なしに広めないから」
話を聴くときは、途中で反論したり、すぐに解決策を示したりせず、最後まで聴くことを優先します。1対1の面談で何をどう話すかは、1on1で話すことと進め方も参考になります。
ステップ3:理由に合わせて、変えられることを検討する
話の中で不満や悩みが見えてきたら、会社として変えられることがないかを検討します。雇用動向調査で多かった理由に沿うと、次のような手があります。
- 労働時間・休日の不満:業務の分担を見直す、残業の偏りを減らす、休みを取りやすくする
- 人間関係の悩み:席や担当の配置を見直す、間に入って話し合いの場をつくる
- 収入・評価の不満:評価の基準と理由を説明する、次の昇給の見通しを伝える
- 仕事内容への不満:やりたい仕事や身につけたい力を聞き、担当の変更を検討する
その場で約束できないことは無理に約束せず、「持ち帰って〇日までに返事をする」と期限を決めて伝えるほうが信頼につながります。
ステップ4:不調が疑われるときは、専門家につなぐ
話の中で、眠れない、食欲がない、気分が落ち込むといった様子が見えたら、退職の相談より先に、体調を優先します。上司が病気かどうかを判断する必要はありません。産業医や保健師がいる会社はそちらへ、いない会社は医療機関の受診や、社外の相談窓口をすすめます。
厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、電話・SNS・メールで相談できる相談窓口を案内しています。会社として相談先を用意していない場合も、こうした公的な窓口を伝えることができます。
ステップ5:上司ひとりで抱えず、共有する範囲を決める
部下から聞いた話は、本人の了解を得たうえで、人事や経営者と必要な範囲だけ共有します。業務の分担や評価の見直しなど、上司ひとりでは決められないことが多いからです。一方で、退職を考えていることや体調のことを、本人の了解なく周りに話してはいけません。誰に、何を伝えるかを本人と確認しておきましょう。
ここまでの5ステップは、上司が部下ひとりに向き合うための手順です。けれど実際には、「上司には本音を言いにくい」「会社の外で話を聞いてほしい」という人も少なくありません。上司以外に安心して相談できる先をどう用意するかを考える材料として、サービス資料をご用意しています。
資料ダウンロード
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辞めそうな社員への対応で気をつけること
前兆に気づいたあとの対応を誤ると、かえって退職を早めたり、トラブルになったりします。上司と人事が気をつけたい点をまとめました。
強引な引き止めはしない
辞めそうな社員を引き止めたい気持ちは自然ですが、退職の申し出を受けたあとに、強く責めたり、退職を認めないと言ったりするのは避けましょう。期間の定めのない雇用では、民法第627条により、労働者はいつでも退職を申し入れることができ、申し入れから2週間がたつと雇用は終わるとされています(就業規則で申し出の時期を決めている場合も、まずは本人とよく話し合うことが大切です)。
引き止めるなら、申し出の前の段階で不満を聴き、変えられることを示すほうがずっと効果的です。申し出を受けたあとは、本人の意思を尊重し、気持ちよく引き継ぎができる関係を保つことを優先します。
詮索しない、態度を変えない
「転職活動しているらしい」という噂を聞いても、本人を問い詰めたり、周りに確かめて回ったりするのは避けます。重要な仕事から急に外す、会議に呼ばないなど、態度を変えるのも禁物です。辞めるつもりがなかった人まで、居づらさから本当に辞めてしまうことがあります。
「部下が辞めるのは自分のせい」と抱え込まない
部下が辞めると、上司は「自分のせいではないか」「評価が下がるのでは」と落ち込みがちです。けれど退職の理由は、家庭の事情や将来の計画など、上司が変えられないものも含めてさまざまです。大切なのは、ひとりで抱え込まず、人事や経営者と一緒に理由を振り返り、次に生かすことです。
部下が立て続けに辞めるときは、職場全体を見る
同じ部署から立て続けに人が辞める、優秀な人からどんどん辞めていく、という場合は、個人ではなく職場に原因がある可能性があります。業務量の偏り、特定の人との関係、ハラスメントの有無などを確かめましょう。ストレスチェックを実施している会社なら、部署ごとの結果を比べるストレスチェックの集団分析が、職場の傾向をつかむ手がかりになります。
離職の予兆に、組織で気づく仕組みをつくる
上司の観察力だけに頼ると、忙しい部署や前兆が見えにくい人は見逃されます。離職の予兆に組織として気づく仕組みも整えておきましょう。
1on1と日頃の声かけで「いつもの様子」を知っておく
前兆に気づくには、その人の「いつもの様子」を知っていることが前提です。月に1回でも、上司と部下が1対1で話す時間を決めておくと、小さな変化に気づきやすくなります。上司が部下の心の健康に目を配る取り組みは「ラインケア」と呼ばれ、厚生労働省の指針でも大切なケアのひとつとされています。考え方と進め方はラインケアの基本にまとめています。
本音を言える職場の空気をつくる
前兆が見えないまま辞められてしまう背景には、「不満を言っても無駄」「言うと評価が下がる」と思われている空気があることも少なくありません。意見や困りごとを口にしても不利にならないと感じられる職場では、不満が退職の決断になる前に表に出てきます。そうした職場づくりの考え方は、職場の心理的安全性の記事で解説しています。
組織の状態を定期的に測る
最近は、勤怠のデータや定期的なアンケートから離職の予兆を検知する仕組みを使う会社も増えています。大がかりな仕組みがなくても、次のような情報を定期的に見ておくだけで、気づける範囲は広がります。
- 部署ごとの残業時間と、休みの取り方の偏り
- 半日休み・突発の休みの増え方
- 年に1〜2回の、働きやすさや人間関係についてのアンケート
- ストレスチェックの集団分析の結果
数字は話を聴くきっかけです。気になる部署があれば、責めずに現場と一緒に理由を確かめましょう。
上司以外の相談先を用意する
部下にとって、退職を考えるほどの悩みを直属の上司に話すのは簡単ではありません。悩みの原因が上司との関係そのものという場合もあります。人事、社外の相談窓口など、上司以外にも話せる先を用意しておくと、退職を決める前に誰かに相談できる可能性が高まります。
厚生労働省の「令和7(2025)年労働安全衛生調査」(2026年8月公表)では、過去1年間にメンタルヘルス不調で1か月以上休業した人、または退職した人がいた事業所は13.5%で、退職した人がいた事業所に限っても6.5%ありました。不調が退職の理由になることもあると考えると、相談先は離職を防ぐ備えにもなります。
ココロチェックで、離職の予兆を組織で見る
仕事辞める人の前兆に気づくには、上司の目配りが欠かせません。ただ、従業員30〜100人の会社では、上司もプレイヤーとして忙しく、部下ひとりひとりの変化を追い続けるのは簡単ではありません。部署ごとの傾向を数字で見ることや、上司には言えない悩みの受け皿を社内だけで用意することも、なかなか手が回らないところです。
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仕事辞める人の前兆についてよくある質問
最後に、部下の退職の前兆について、上司や人事・総務のご担当者からよく寄せられる質問にお答えします。
Q. 仕事を本当に辞める人には、どんな前兆がありますか?
よく見られるのは、新しい仕事や先の予定の話を避ける、会議での発言が減る、評価や昇進に関心を示さなくなる、定時で帰る、平日の休みが増える、私物の片付けや引き継ぎ資料づくりを始める、といった変化です。ひとつだけでは判断せず、いつもの様子と比べて複数の変化が重なっているかを見てください。
Q. 前兆なしで突然辞める人もいますか?
います。仕事ができて最後まで成果を落とさない人や、不満を口にしない人は、前兆が表に出にくい傾向があります。上司からは「前兆なし」に見えても、本人の中では長く迷っていたということがほとんどです。変化を探すだけでなく、定期的に1対1で話す場を持つことが、気づくための近道です。
Q. 退職の前兆とうつなどのメンタル不調のサインは、どう見分けますか?
遅刻・欠勤の増加や会話の減少は、どちらにも出るサインです。仕事の能率の低下やミスの増加、表情に元気がない、身なりが乱れるといった変化が目立つときは、不調の可能性を先に考えてください。病気かどうかを上司が判断する必要はなく、体調を気づかう声かけをしたうえで、医療機関や相談窓口につなぎます。
Q. 辞めそうな社員は引き止めるべきですか?
申し出の前なら、不満や悩みを聴き、変えられることがあれば検討する価値はあります。ただし、申し出を受けたあとに強く責めたり、退職を認めないと言ったりするのは避け、本人の意思を尊重して円満な引き継ぎを優先してください。
Q. 部下から「辞めたい」と言われたら、まず何をすればいいですか?
まずは驚きや不満を表に出さず、最後まで話を聴きます。時期の希望と体調を確かめ、その場で結論を出さずに、早めに人事や経営者へ報告します。本当の理由を言わない人も多いので、無理に聞き出さず「話せるようになったら教えてほしい」と伝えておきましょう。理由が職場の問題にあるなら、本人が辞めるかどうかにかかわらず、ほかのメンバーのためにも改善を検討しましょう。
Q. 部下が辞めるのは上司のせいですか?
人間関係は退職理由の上位に入るため、上司との関係が影響することはあります。ただ、収入や労働条件、家庭の事情など、上司ひとりでは変えられない理由も多くあります。自分を責めるより、人事や経営者と一緒に理由を振り返り、次の前兆に早く気づける体制をつくることが大切です。
まとめ:仕事辞める人の前兆は「いつもとの違い」で気づく
仕事辞める人の前兆と、上司・人事がとるべき対応について、要点を振り返ります。
- 退職の前兆は、仕事への向き合い方、人との関わり方、勤怠、身の回りの4つの場面に表れやすい。ひとつで判断せず、いつもの様子と比べて変化が重なっているかを見る
- 遅刻・欠勤の増加や会話の減少はメンタル不調のサインとも重なる。迷ったら体調を気づかう声かけから始め、必要なら専門家につなぐ
- 気づいたら、事実をメモし、1対1で責めずに話を聴き、変えられることを検討する。上司ひとりで抱えず、組織の状態を測る仕組みや上司以外の相談先も用意しておく
退職の申し出は、悩みの終わりに出てくるものです。悩みの途中で気づき、話を聴ける職場であれば、防げる退職は少なくありません。日々の小さな変化に目を向けるところから始めましょう。
部下の変化に、組織の数字でも気づく
無料の組織診断で、組織の状態と部署ごとの傾向がわかります。離職の予兆を上司ひとりで抱えない体制づくりの出発点にどうぞ。
