人的資本経営とは?中小企業の始め方と開示義務・指標例

人的資本経営とは?中小企業の始め方と開示義務・指標例

「取引先の大手企業が人的資本経営を掲げている」「金融機関の担当者から人への投資について聞かれた」。最近、こうした場面で人的資本経営という言葉に出会う中小企業の経営者や人事・総務のご担当者が増えています。

人的資本経営とは、社員を人件費という「コスト」ではなく、価値を生む「資本」と考え、育成や働きやすさに投資して、会社の将来の価値を高めていく経営のあり方です。有価証券報告書での人的資本の開示が義務になっているのは上場企業などで、従業員30〜100人の会社に開示義務はありません。それでも、人手不足の中で「この会社で働きたい」「この会社で働き続けたい」と思ってもらうための考え方として、中小企業にこそ役立ちます。

この記事では、経済産業省の「人材版伊藤レポート」や金融庁の内閣府令など公的な資料をもとに、人的資本経営の意味、開示義務の範囲、中小企業が取り組む順番と指標の例、健康経営との関係までを整理しました。

この記事でわかること

  • 人的資本経営とは何か、経済産業省の定義と注目される背景
  • 人材版伊藤レポートの「3P・5Fモデル」の要点
  • 人的資本開示の義務の範囲と開示項目、2026年の改正
  • 中小企業が人的資本経営に取り組む5つのステップと指標の例
  • 人的資本経営と健康経営・メンタルヘルス対策の関係
目次

人的資本経営とは?意味をわかりやすく解説

まずは、人的資本経営という言葉の意味と、国がどう説明しているかを確認しましょう。社内や取引先に説明するときの土台になります。

人的資本経営とは(経済産業省の定義)

経済産業省は、人的資本経営を「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」と説明しています。英語では Human Capital Management と呼ばれます。

簡単に言えば、「人が育ち、力を出し切れる会社ほど、長く稼げる」と考え、人材への支出を将来への投資として計画的に行うことです。研修費や職場環境の改善にかかるお金を、削るべき費用ではなく投資として扱う点が、これまでとの違いです。

人的資源と人的資本の違い

これまで人材は、モノ・カネ・情報と並ぶ経営の「資源」と呼ばれ、人件費はできるだけ抑える対象になりがちでした。

資本という見方では、学びの機会や働きやすい環境を用意すれば、人の価値は増えていくと考えます。投資と考えるなら、「いくら使ったか」だけでなく「定着が進んだか」「できる仕事が増えたか」という成果まで確かめることになります。

人的資本経営はなぜ注目されているのか

人的資本経営が注目される背景には、大きく3つの流れがあります。

  • 人手不足:経済産業省が2026年3月に公表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」では、職種によって大きな需給のミスマッチが生じる可能性が示されました。必要な人を採り、育て、辞めずに活躍してもらう力が、会社の存続を左右します
  • 投資家の関心:企業の価値の源泉が設備などの有形資産から、人材やノウハウなどの無形資産へ移っているとされ、投資家が人への投資を重視するようになりました
  • 働く人の関心:内閣官房・金融庁・経済産業省の「人的資本可視化指針(改訂版)」は、学生や転職希望者も、労働環境や企業風土、経営戦略と人材戦略のつながりに関心を持つという調査を紹介しています

3つ目の流れは、上場していない中小企業にも直接かかわります。

人的資本経営はいつから?国の動きの流れ

人的資本経営という言葉は、2020年以降に国の報告書や開示ルールを通じて広まりました。

  • 2020年9月:経済産業省が「人材版伊藤レポート」を公表
  • 2021年6月:コーポレートガバナンス・コードの改訂で、人的資本への投資についての開示が盛り込まれる
  • 2022年5月:経済産業省が「人材版伊藤レポート2.0」を公表
  • 2022年8月:「人的資本可視化指針」の公表、「人的資本経営コンソーシアム」の設立
  • 2023年3月期:有価証券報告書での人的資本の開示が始まる
  • 2026年2月・3月:有価証券報告書の開示事項の拡充(内閣府令の改正)と、人的資本可視化指針の改訂

人材版伊藤レポートとは?3P・5Fモデルの要点

人的資本経営の考え方の土台になっているのが、経済産業省の「人材版伊藤レポート」です。全文は長いため、ここでは中小企業の経営者が押さえておきたい要点だけを整理します。

人材版伊藤レポートと人材版伊藤レポート2.0

「人材版伊藤レポート」は、経済産業省の「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」の報告書で、検討を主導した一橋大学の伊藤邦雄氏の名前から通称がついています。2020年9月に公表され、経営戦略と連動した人材戦略の考え方として「3P・5Fモデル」を示しました。

2022年5月には、続編として人材版伊藤レポート2.0(人的資本経営の実現に向けた検討会報告書)が公表されました。2.0は、3P・5Fモデルを実際の取り組みに落とし込むためのアイディアと、企業の実践事例をまとめたものです。

3つの視点(3P)

人材版伊藤レポートは、人材戦略を見るときの3つの視点(Perspectives)を挙げています。要約すると次のとおりです。

  • 経営戦略と人材戦略の連動:人材戦略が、会社の目指す事業の姿とつながっているか
  • As is – To be ギャップの定量把握:目指す姿(To be)と現在の人材の姿(As is)との差を、数字でつかめているか
  • 企業文化への定着:人材戦略を進める中で、社員の行動が変わり、会社の文化として根づいているか

2.0は、3つのうち最も重要なのは1つ目の「経営戦略と人材戦略の連動」で、何から手を着けたらよいか分からない会社は、まずここから始めることが第一歩になるとしています。

5つの共通要素(5F)

人材戦略の中身として、業種を問わず共通する5つの要素(Factors)も示されています。

  • 動的な人材ポートフォリオ:目指す事業の実現に向けて、多様な人が活躍できる人材の構成をつくれているか
  • 知・経験のダイバーシティ&インクルージョン:多様な経験や考えを持つ人が、力を発揮できる環境か
  • リスキル・学び直し:将来必要なスキルとの差を、学び直しで埋めているか
  • 社員エンゲージメント:一人ひとりが主体的、意欲的に仕事に取り組めているか
  • 時間や場所にとらわれない働き方:柔軟な働き方ができるか

2.0では、社員エンゲージメントを高める取り組みの一つとして、健康経営への投資と、社員のWell-being(心身ともに満たされた状態)の視点を取り込むことも挙げられています。

中小企業は伊藤レポートをどう読めばよいか

人材版伊藤レポートは、主に上場企業の経営陣や取締役会、投資家に向けたもので、最高人事責任者(CHRO)の設置など、中小企業にそのまま当てはまらない提言も含みます。

中小企業が取り入れたいのは、考え方の骨組みです。「3年後の事業に、どんな人が何人必要か」「今いる人との差はどこか」「その差を、採用と育成と定着でどう埋めるか」を経営者が言葉にするだけでも、3つの視点の1つ目と2つ目に取り組んでいることになります。

人的資本開示とは?義務化の対象と開示項目

人的資本経営とセットで語られるのが、人的資本の情報開示(人的資本開示)です。義務の範囲と項目を確認しましょう。

人的資本開示の義務化はいつから?対象企業は

有価証券報告書での人的資本開示は、金融庁の「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正(2023年1月31日公表)により、2023年3月31日以後に終了する事業年度の有価証券報告書から義務になりました。対象は、金融商品取引法にもとづいて有価証券報告書を提出する会社で、主に上場企業です。

従業員30〜100人の非上場の会社は、この開示義務の対象ではありません。「人的資本開示の義務化で中小企業も対応が必要」という情報を見かけたら、有価証券報告書の話なのか、次に説明する女性活躍推進法などの公表義務の話なのかを分けて考えましょう。

有価証券報告書の開示項目

2023年の改正では、有価証券報告書に「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設されました。人的資本について求められる主な記載は次のとおりです。

  • 人材育成方針と社内環境整備方針:人材の多様性の確保を含む人材育成の方針と、働く環境を整える方針
  • 方針に関する指標と目標・実績:上の方針について、どの指標で測り、どんな目標を立て、どこまで進んだか
  • 女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女間賃金差異:女性活躍推進法や育児・介護休業法にもとづいて公表している会社は、「従業員の状況」の欄に記載する

2026年の改正で何が変わった?

金融庁は2026年2月20日に企業内容等の開示に関する内閣府令を改正し、人的資本の開示を拡充しました。2026年3月31日以後に終了する事業年度の有価証券報告書から、次の内容が加わっています。

  • 企業戦略と関連付けた「人材戦略」
  • 人材戦略を踏まえた、従業員の給与等の決定に関する方針
  • 従業員の平均給与の、前の事業年度からの増減率

あわせて、内閣官房・金融庁・経済産業省は2026年3月23日に「人的資本可視化指針」を改訂しました。改訂版は、経営戦略と人材戦略の結びつけ方と、それに沿った指標の開示を整理しています。開示の重心は、数字を並べることから、戦略とのつながりを説明することへ移っています。

101人以上の会社は女性活躍推進法の公表義務に注意

非上場の会社でも、人的資本開示と同じ指標の公表を求められる法律があります。人数の境目に近い会社は確認しておきましょう。

  • 女性活躍推進法:2026年4月1日から、従業員101人以上の企業に「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務になりました(100人以下は努力義務)
  • 育児・介護休業法:2025年4月1日から、男性の育児休業等の取得状況の公表義務が、従業員300人超の企業に広がりました

従業員が100人前後で採用を続けている会社は、早めに自社の数字を集めておくと安心です。

ISO 30414と開示の指標の例

国際的な目安としては、国際標準化機構(ISO)が2018年に定めた人的資本の情報開示のガイドライン「ISO 30414」があります。中小企業は、指標の種類を知る参考程度で十分です。

2022年の人的資本可視化指針は、開示事項の例を「育成」「エンゲージメント」「流動性」「ダイバーシティ」「健康・安全」「労働慣行」「コンプライアンス/倫理」の分野に分けて整理しています。健康・安全の中には精神的健康も含まれ、心の健康も人的資本の一部として扱われていることが分かります。

中小企業にとっての人的資本経営は「採用・定着の言葉」

開示義務がなくても、中小企業に関係がないわけではありません。中小企業にとっての人的資本経営は、投資家への説明よりも、求職者と社員に「この会社で働く理由」を伝える言葉として役立ちます。

人的資本経営のメリット

考え方を取り入れると、次のようなメリットが期待できます。

  • 採用で伝える材料ができる:育成の仕組みや定着率、休みの取りやすさを、数字と言葉で求人票や採用ページに書ける
  • 定着につながる打ち手が見える:辞める理由と数字を並べることで、どこに手を打つべきかがはっきりする
  • 経営者と社員の目線がそろう:会社が人にどう投資するかを示すと、社員が自分の成長と会社の方向を結びつけやすくなる

1人の離職で採用や育成の費用がどのくらい失われるかは、離職コスト計算ツールで自社の数字を入れて確かめられます。

人的資本経営の課題とデメリット

取り組む前に知っておきたい課題もあります。

  • 成果が出るまで時間がかかる:育成や職場づくりの効果は、数年単位で表れることが多い
  • 指標を集める手間がかかる:離職率や研修時間など、これまで集計していない数字もある
  • 形だけになりやすい:数字を並べるだけで、経営の判断や施策につながらないと意味が薄れる

人材版伊藤レポート2.0も、日本企業の取り組みは道半ばで、形式的な対応にとどまらない具体的な行動が求められているとしています。中小企業は、指標を増やすより、少ない数字を毎年追い続けるほうが効果的です。

中小企業が人的資本経営に取り組む5つのステップ

ここからは、従業員30〜100人の会社が人的資本経営を始める順番を、5つのステップで紹介します。人材版伊藤レポートの3つの視点を、小さな会社の実務に置き換えた流れです。

ステップ1:3年後に必要な人材を言葉にする

最初に、経営者が「3年後にどんな事業をしていたいか」と「そのために、どんな人が何人必要か」を書き出します。たとえば「現場のリーダーを3人育てたい」「若手の定着率を上げたい」といった形です。

中小企業庁の「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」も、経営課題の背景に「中核人材の採用」「中核人材の育成」「業務人材の採用・育成」という3つの人材課題が潜んでいないかを確かめるところから始める構成で、課題を整理する手がかりになります。

ステップ2:今の状態を数字で集める

次に、今の人材の状態を、まず手元にある数字から集めます。

  • 勤怠システムや給与台帳:離職率、平均勤続年数、残業時間、有給休暇の取得率
  • 採用の記録:応募数、採用数、入社3年以内の離職者数
  • ストレスチェックの結果:部署ごとの集団分析の結果
  • 面談や退職時のヒアリング:辞めた理由、働き続けている理由

厚生労働省の「令和7年労働安全衛生調査(実態調査)」では、過去1年間にメンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した労働者か退職した労働者がいた事業所は13.5%でした。心の不調による休業や離職も、人的資本の損失として数字で見ておく必要があります。

ステップ3:目標の指標を3つから5つに絞る

集めた数字の中から、ステップ1の課題に直結するものを3つから5つ選び、目標と期限を決めます。人材版伊藤レポートが言う「As is – To be ギャップ」を、自社の規模に合う数で見る形です。中小企業で使いやすい指標の例は次の章で紹介します。

ステップ4:ギャップを埋める打ち手を決める

目標との差を埋める打ち手を、採用・育成・定着・健康の4つの方向から考えます。

  • 採用:求める人物像の見直し、紹介制度、職場見学の受け入れ
  • 育成:資格取得の支援、社外研修、OJTの担当者と手順の明確化
  • 定着:定期的な1対1の面談、評価の基準の共有、柔軟な勤務の選択肢
  • 健康:長時間労働の是正、ストレスチェック後の職場改善、社内外の相談先の用意

辞める人を減らす具体的な手順は、離職防止の対策でまとめています。

ステップ5:社員と求職者に伝え、毎年振り返る

決めた方針と数字は社内に説明し、採用ページや求人票にも載せます。「入社3年以内の定着率」「資格取得の支援実績」「有給休暇の平均取得日数」など、求職者が知りたい数字を正直に出すことが、採用の言葉としての人的資本経営です。

そのうえで、年1回、同じ指標で振り返り、打ち手を見直します。最初から完璧な数字でなくてもかまいません。

5つのステップのうち止まりやすいのが、ステップ2の「今の状態をつかむ」ことと、ステップ4の健康面の打ち手です。社員の心の状態は勤怠の数字に表れにくく、社内の人には相談しにくいものです。組織の状態の把握と、社員の相談先づくりをあわせて検討する際の材料として、サービス資料をご用意しています。

資料ダウンロード

人への投資を「心の健康」から。ココロチェックのサービス資料

人的資本経営の指標の例:中小企業向け

従業員30〜100人の会社が使いやすい指標の例を、分野ごとに紹介します。自社の課題に合うものだけを選んでください。

採用・定着の指標

  • 離職率(年間の退職者数÷期首の従業員数)
  • 入社3年以内の離職率
  • 平均勤続年数
  • 採用予定数に対する採用できた人数の割合

育成の指標

  • 1人あたりの研修時間、研修費用
  • 資格取得の支援を受けた人数
  • 管理職候補として育成している人数

エンゲージメント・健康の指標

  • エンゲージメントサーベイの点数(仕事への意欲や会社への愛着)
  • ストレスチェックの受検率と、集団分析の結果
  • メンタルヘルス不調による休業者数
  • 残業時間の平均、有給休暇の取得率

エンゲージメントの測り方と質問の例はエンゲージメントサーベイの解説で、仕事への熱意や活力を表す考え方はワークエンゲージメントの解説で詳しく扱っています。休んではいないけれど体調不良で力を出し切れない状態による損失は、プレゼンティーイズムの測り方と対策で紹介しています。

ダイバーシティ・働き方の指標

  • 女性管理職比率、男女間賃金差異
  • 男性の育児休業取得率
  • 短時間勤務やテレワークの利用者数

人的資本経営と健康経営・メンタルヘルス対策の関係

人的資本経営と並んでよく聞くのが健康経営です。関係を整理すると、今の取り組みを人的資本経営の中に位置づけやすくなります。

健康経営は人的資本経営を支える取り組み

健康経営は、社員の健康管理を経営の視点で考え、戦略的に取り組むことです。人材版伊藤レポート2.0は、社員エンゲージメントを高める取り組みの一つに健康経営への投資を挙げ、2026年の人的資本可視化指針(改訂版)も、健康経営をはじめとする予防・健康への投資を、人的資本投資の課題の一つとして示しています。

人的資本経営が「人への投資全体」の考え方だとすれば、健康経営は、その中の「健康」の分野を担う取り組みといえます。中小企業の健康経営の始め方は健康経営の解説で、国の認定制度は健康経営優良法人の認定基準と申請手順で紹介しています。国が「人的資本経営」そのものを認定する制度は確認した範囲ではなく、取り組みを外に示す目印としては健康経営優良法人の認定が分かりやすいでしょう。

心の健康は人的資本の土台

研修に投資しても、社員が心身の不調で力を出せなければ投資は生きません。厚生労働省の「令和7年労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事や職業生活で強い不安やストレスを感じている労働者は67.5%にのぼります。

50人未満の事業場では、ストレスチェックが2028年4月1日から義務になります。ストレスチェックの集団分析は、部署ごとの負担の偏りを見る数字として、人的資本経営の指標にもそのまま使えます。義務化への備えを、人への投資の第一歩と位置づけることもできます。

ココロチェックで、人への投資を心の健康から始める

人的資本経営は、社員を資本と考え、育成や働きやすさに投資していく経営のあり方です。ただ、産業保健の担当者がいない会社では、社員の心の状態を数字でつかむこと、社内の人には話しにくい悩みの受け皿を用意すること、どの部署に負担が集まっているかを見ることが、社内だけでは難しいところとして残りがちです。

ココロチェックは、産業保健の担当者がいない会社のための、法人向けメンタルヘルスサービスです。組織の状態を「測る」ところから、社員が専門家に相談して「癒す」ところまでを、一つのサービスで支えます。

  • 組織の状態を測る:設問に答えるだけで、組織の状態と部署ごとの傾向がわかる組織診断を無料で用意しています。人的資本経営のステップ2「今の状態を数字で集める」の材料になります
  • 社員の相談先になる:公認心理師・臨床心理士などの専門家に、オンラインで1回30分から相談できます。不調が大きくなる前の相談先として、定着の打ち手の一つになります
  • 人事に個人の情報は渡さない:会社が見られるのは組織単位の傾向だけで、誰が相談したかは本人の同意なく伝わりません。社員が安心して使える相談先であることは、働きやすさを伝える材料にもなります

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人的資本経営のよくある質問

人的資本経営と人的資本開示について、経営者や人事・総務のご担当者からよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 人的資本経営とは簡単に言うと何ですか?

社員を「コスト」ではなく価値を生む「資本」と考え、育成や働きやすさに投資して、会社の中長期的な価値を高める経営のあり方です。

Q. 人的資本開示は中小企業も義務ですか?

有価証券報告書での人的資本開示が義務になっているのは、有価証券報告書を提出する上場企業などです。非上場の中小企業に開示義務はありません。ただし、従業員101人以上の企業は、女性活躍推進法により2026年4月1日から男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が義務になっています。

Q. 人的資本開示の義務化はいつからですか?

2023年3月31日以後に終了する事業年度の有価証券報告書からです。さらに、2026年3月31日以後に終了する事業年度からは、企業戦略と関連付けた人材戦略、従業員給与等の決定に関する方針、平均給与の増減率の記載が加わりました。

Q. 人的資本経営と健康経営の違いは何ですか?

人的資本経営は、育成・採用・多様性・働き方・健康などを含む人への投資全体の考え方で、健康経営はその中の社員の健康に焦点を当てた取り組みです。

Q. 中小企業は人的資本経営で何から始めればよいですか?

経営者が「3年後に必要な人材」を言葉にし、離職率や残業時間、ストレスチェックの結果など手元の数字を集めるところから始めましょう。指標は3つから5つに絞り、毎年同じ数字で振り返ると続けやすくなります。

まとめ:人的資本経営は中小企業の採用・定着を支える考え方

人的資本経営について、要点を振り返ります。

  • 人的資本経営とは、社員を「資本」と考え、その価値を引き出して中長期的な企業価値を高める経営のあり方。人材版伊藤レポートの3P・5Fモデルが考え方の土台になっている
  • 有価証券報告書での人的資本開示の義務は上場企業など。中小企業に開示義務はないが、101人以上は女性活躍推進法の公表義務がある
  • 中小企業は、必要な人材を言葉にし、手元の数字で今の状態をつかみ、指標を絞って毎年振り返ることから始める。心の健康は人的資本の土台になる

人的資本経営は、大企業の開示のための言葉にとどまりません。人への投資を数字と言葉で示すことは、人手不足の中で中小企業が選ばれ、社員に長く働いてもらうための力になります。

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この記事を書いた人

はたらくこころ研究所 編集部のアバター はたらくこころ研究所 編集部 運営:株式会社remental

はたらくこころ研究所は、株式会社remental が運営する、職場のメンタルヘルスの情報メディアです。編集部では、産業医や保健師などの産業保健の担当者がいない会社で人事・総務・経営を担う方に向けて、ストレスチェック、休職・復職、ハラスメント対策、管理職のラインケアなどの実務をまとめています。
法令や制度に関する記事は、厚生労働省など公的機関が公表している情報をもとに作成し、制度の改正にあわせて見直しています。

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